シェルティーの脂質異常症

さくらちゃん、16歳の女の子

ひどい下痢を訴えて当院を受診された際、血液検査でコレステロールと中性脂肪、肝臓の数値がとても悪い事がわかりました。
そこで詳しい検査を行ってみると、VLDLとLDLと呼ばれる脂質に異常があり、エコー検査では胆嚢内に胆泥貯留(粘液膿腫)があることがわかりました。

脂質異常症(高脂血症)は、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に高くなる病気で、体質、食餌、運動などが関係します。高くなったコレステロールや中性脂肪は、血流に乗って全身に運ばれ、血管に沈着し、肝臓病や心臓病、脳血管障害、糖尿病などさまざまな病気を引き起こします。脱毛や皮膚の痒みといった皮膚病にもこの脂質異常症が深く関与している例もあります。犬では、先天的にシェルティーとミニチュアシュナウザーで多いというのがわかっています。さくらちゃんの例では、すでに胆嚢に問題を起こし肝臓病になってしまってました。

コレステロールや中性脂肪にもいろんな分子量のものがあり、体に必要なものもあり、これら脂質の詳細な解析をして治療計画を立てる必要があります。
さくらちゃんは、解析後、飲み薬で治療を開始しました。状態に応じて加減しながら、現在いくつかのお薬で、数値も落ち着き、元気な毎日を送っています。
飼主さんの愛情をたくさん受けて、もっともっと長生きして欲しいと思います。